「五・七・五」と「素数」 (雪月花の数学 桜井進著 より)
俳句は「五・七・五」、短歌は「五・七・五・七・七」の音で構成されます。特に短歌は「三十一文字」と表現されすが、三十一音でもあります。古来、日本の韻文詩の基本形は、5音と7音の組み合わせで。「万葉集」に収録された歌は、主として次の4形式です。
➀長歌(5・7・5・7・5・7・・・、7) ②短歌(5・7・5・7・7)
③旋頭歌(せどうか)(5・7・5,5・7・7) ④仏足石歌(5・7、5・7、7・7)
「5」と「7」はどのような数か
中学で習う「素数」ですが、素数とは「1とそれ自身以外に約数(因数)を持たない自然数」、つまりは「1と自分以外では割れない(正の)整数のことです。面白いことに俳句(5・7・5)と短歌(5・7・5・7・7)をはじめとする韻文詩を構成する「5」と「7」はともに素数です。さらに俳句は17音(素数)、短歌は31音(素数)です。一桁の奇数は5個あります。1,3,5,7,9
のうち「3・5・7」が素数。しれも連続する素数です。
◆ 「五節句」の日付はなぜ奇数なのか
五節句は陽の数が重なった日(重日)、奇数月の奇数日に行われる厄払いが年中行事化したもの。季節の節目に厄除けをし、無病息災を祈り、自然の産物に感謝した。神に供物を奉じたことから〈節供〉とも表記していた。現代にも伝わる「五節句」は、江戸時代に幕府が公式に認め年中行事の祝日とした(明治6年廃止).
➀人日(じんじつ) 1月7日 ▶ 七草粥
②上巳(じょうし) 3月3日 ▶ ひな祭り
③端午(たんご) 5月5日 ▶ 子どもの日
④七夕(たなばた) 7月7日 ▶ たなばた
⑤重陽(ちょうよう)9月9日 ▶ 現在はなじみがないが、昔は盛大な宮中祝賀が行われた
◆ 数の世界の「土台」を作る数
このように奇数=陽の数字への崇拝は日本人のこころに根付き、今なお私たちへと受け継がれている。神前結婚式の「三三九度」、子どもの健やかな成長を祈る「七五三」。
古の日本人に「素数」という概念はなかったかもしれないが、結果的に「連続する三つの素数」になっている。素数とは何か、端的に言えば「数の世界の土台」を作っている数である。
数は「素数」と「素数でない数=合成数」の分けることができる。合成数は、すべて素数の積(二つ以上の素数を掛ける)で表すことができる。例えば「6」は「2」と「3」という素数から作られるこうして素数の積であらわす方法を「素因数分解」という。
(例) 8=2×2×2=23 9=32 10=2×5 12=2×2×3=22×3
このように素数は「数の世界の土台」を作っているのである。
◆ 生け花に現れた素数
日本人は伝統的に「3」「5」「7」を大切にしていると説明してきました。 虚飾を取り外した「元」を尊ぶ日本人の心に、数の世界の土台を作る素数の潔さが込められていると著者は指摘しているが、生け花の世界にも「5・7・5」が反映されている。 生け花を美しく生けるためには「3対5対7」を基本としている。それに対し西洋のファラワーアレンジメントは「3対5対8」が基本となる。
◆ 西洋の「黄金比」に対して日本の「白銀比」
西洋の「黄金比」は難しいので簡単に表現すれば「5対8」、「白銀比」は「1対√2である。
日本人は円の中に正方形を見た。正方形は、円に対してたいへん収まりのよい形である。
円に内接した正方形に対角線を引き、導きされたのが「白銀比=√2」だった。日本人は大切なものに白銀比を使い、正方形を使う。実用的で、同時に無駄を省き、いたずらな華美を慎み質素倹約を旨とした。その意味で黄金比と白銀比は真反対の数といってよい。黄金比は「動」であり、白銀比は「静」である。
この見方を敷衍すると、俳句の「五七五」を図形化することが可能になる。「円に内接する正方形」に、「五七五」は鮮やかに適合する。加えて最初の素数である「2」はどこにあるのか、2は
円に内接する√2に表れている。 √2≒1.4 5×1.4=7





