「ギ タ ー」
わたしは趣味でギターを弾いている。最初にギターを手にしたのは小学六年の時で、音楽の成績が良くないとのことで、父がギターでも与えれば音楽の勉強に興味を持つだろうくらいの考えだったようだ。特に指導者がいるわけでもなく、独習書を一冊買ってくれただけだから音楽の成績が上がるわけはなく、ギターは放置されていつの間にか無くなった。
社会人となり結婚をして、会社の仕事や子育てに忙しい日々が続く中でギターやあんなに好きだった洋楽ロックのことなどすっかり忘れてしまっていた。そんな生活が長く続いた。やがて三人の子供たちも独立して、わたしも六十歳の定年退職を迎える時が来た。退職後は様々な仕事をパートをしながらも時間に余裕ができたことで大学時代にはできなかったバンドでギターを弾きたいという思いが強くなった。やるからにはしっかり基礎から学びたいと考え、音楽教室に通うことに決め月三回個人レッスンを受けた。段階的に演奏技術を教わり、次第に楽譜も読めるようになった。演奏技術もだいぶ上達していろいろなジャンルをそこそこ弾けるようになった。十二年間通った教室も二年前に終えた。現在は同世代の仲間とバンドを組んで、時々ショッピングセンターや道の駅のステージにも立っている。だいぶ年数は経たがやっと大学時代の口惜しさへのリベンジを果たすことができた。これからも多くの人たちに演奏を楽しんでもらい、自分自身も楽しんで行きたいと思っている。


